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DV(ドメスティックバイオレンス)に悩む男性の被害者・加害者からの相談を受けています。
「人権という言葉をよく聞くけど、何か分かりにくい言葉だな」と思っている人も多いと思います。そんな人に読んでもらいたいと思い、本書のタイトルを、『新・21世紀の人権――知っているようで知らない差別と人権の話』とつけました。
21世紀前半の世界を生きている私たちの周りには、さまざまな問題があふれています。いじめやハラスメント、犯罪や事故、災害やパンデミックなど、数え上げればきりがありません。さらに新聞等のメディアでも、貧困や格差の問題、地球温暖化等の環境問題、軍事的衝突や戦乱等の報道があふれています。こういうさまざまな問題をどう考えていけば良いか、心と頭を悩ませているのが、私たちの生活ではないでしょうか。
「人権」とは、こうしたさまざまな問題を考える上で抜かすことができない基本的な思想です。「すべての人は、一人ひとりが人であるということだけでかけがえのない尊い大切な存在として、守られなければならない」という前提の上で、法によらずして拘束されない権利や、教育を受ける権利、自由にものを考えその考えを表現する権利等が、憲法や法によって規定されています。このような思想がいつ生まれどのように憲法や法などになったのかについては、詳しくは、本書1章を読んでみてください。この「人権」という視点は、いじめをどう考えればよいかとか、災害にどのような支援を行えば良いか等の現実の具体的な問題を考えていく時の大きな支えとなります。
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監修:江原由美子
しかし、実際には、多くの現実の社会的問題は、「人権」の視点から見て充分な対応が取られているとは到底言えません。たとえば、日本国憲法では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という規定があるにもかかわらず、多くの人が貧困に苦しんでいます。また、この憲法の規定も「国民」に与えられた権利に過ぎず、国籍が違う人はそこには含まれていません。「すべての人は人であるだけでかけがえのない尊い大切な存在として守られなければならない」という人権思想から見れば、全く不十分ということになります。本書では、さまざまな現実的な問題について深く充分な知識を持った執筆者が、なぜどうしてどのように不十分なのかを、現代の日本社会に即して、かなり深く具体的に論じています。つまり本書の主題は、「人権」という思想を基準として、私たちが生きている社会が実際にどのくらい「人権」を尊重できている(できていない)社会なのかを、明らかにすることにあるのです。「知っているようで知らない差別と人権の話」という副題には、「人権」という概念を知っていても、さまざまな現実の社会問題のなかで何が問題なのかについてまでは知らないことが多いという意味も、込めています。本書を手掛かりに、一緒に考えていければ幸いです。
A4版・16頁 月1回発行 年間購読料:4,000円(送料込)
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